物価や人件費の高騰で、都市部でも経営に苦しむ病院が出てきている。医療現場で何が起きているのか。今後、病院は減っていくのか。東京都三鷹市の医療法人財団慈生会「野村病院」の理事長で、医師の野村幸史氏(69)に聞いた。
――隣接する武蔵野市で、病院の閉院が相次いでいます。経営悪化の波が都市部の病院にも広がってきているように感じます。
「物価の上昇に加え、人材紹介手数料やDX(デジタル化)のコストなど、これまでにない費用の発生が最大の要因です。一方で、収入である診療報酬は公定価格で自分たちでは決められず、コストの増加分をカバーできていません。特に民間中小病院の経営は、かつてないほど厳しい状況です」
――医師、看護師の確保も難…